ラットサイン
駅前で人通りがあるのに、なぜかその場所に出店すると潰れるという場所があります。
どの店も決して味は悪くないしメニューを見ても申し分ないのに、ころころ店舗が入れ替わるのです。
反対に「どうしてこの店が流行るのだろう」と思われる店が繁盛してたり・・・そういうことってありませんか?
不思議に思っていたら、どうもこれは人間の行動パターンは共通性があって(人間行動学?)、無意識に皆がなぜか同じルートをたどってしまうことに関係しているらしいのです。
この「無意識に皆がなぜか同じルートをたどってしまう」というのは、ネズミにも当てはまるようです。
かつて我が家はいつも小窓を開けていていたことがあって、そこからはネズミが入らないのに、その近くのエアコンの配管から侵入されていたことがありました。(エアコンの配管はネズミがもっとも好むルートの一つ)
どうもネズミもまた同じように皆同じパターンのルートをたどってしまうようです。
クマネズミの寿命は1~2年と言いますので世代は交代しているはずなのに、皆がなぜか同じ道を通るようです。そしてそういうところにはラットサインがあるでしょう。
今回はネズミが好む侵入ルート(侵入口)のラットサインのお話です。
ネズミがどこを移動するかを見極めるのが、ネズミ駆除の基本と言えます。
ネズミの音がしたり、ネズミが好みそうな場所を探すのですが、目安になるのが「ラットサイン」と呼ばれるネズミの形跡です。
これが見つかったらシメシメと思ってください。
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ネズミの侵入経路・侵入口の探し方
“ラットサイン”とは
「ラットサイン」というのはネズミの痕跡のことを言います。
このラットサインを探して駆除するのです。
なので素人とは違って、プロのネズミ駆除業者は、このラットサインを見つけるのが上手です。
ネズミの身体は汚れているので、ネズミが通ったときには汚れの痕跡が残ります。
灰色の煤けたような汚れだったり、長年繰り返し通る場所だと汚れが積み重なって黒光りすることもあります。
汚れの付着以外にも、ネズミの足跡・糞・尿・毛もラットサインと呼びます。
天井裏、電気コードに付いたラットサイン
軒下、雨どいに繋がる場所にあるラットサイン
押入れの天袋、ネズミの足跡のラットサイン
屋根、糞と毛のラットサイン
ネズミというのは毎日同じルートを通る習性があります。
その通り道にネズミの痕跡が残ります。
種類
「ラットサイン」のタイプはいくつかあります。
以下でそれぞれ説明しますので参考にしてみてください。
黒い汚れ
ネズミは汚い動物で、身体に汚れと油を付けています。
目はあまり良くないので、移動は身体をどこかに触れさせて移動することが多く、ネズミに付いていた汚れ侵入口・通り道・壁面に付着します。
ネズミは毎日同じ通り道を通るので、汚れが積み重なって、だんだん黒くなっていきます。
最初のうちは小さな灰色くらいですが、長年、ネズミが通るのを放置していた箇所は巨大で、黒光りして炭のようになります。
ネズミの足跡
上の写真はネズミの足跡も付いています。
白い壁に付着しているのはネズミの足跡です。
見落としがちですが、灰色のわしゃわしゃしてる汚れと思ってください。
汚い小さい足で触るとこんな汚れが付きます。
ネズミの移動ルートがはっきりしますので、足跡は役立ちます。
もし、判明が付かなくて突き止めたい場合、小麦粉やクレンザーなどを茶こしなどで篩って、足跡が付いていたら現在使われているルートだというのを見つける方法もあります。
よくハクビシンで使われる手ですが、ネズミでも応用ができるんじゃないかしら。
ねずみの毛や糞
一目瞭然です。
黒い糞は新しい糞、乾いているのが古い糞。
ここはシステムキッチンの裏。こんなとこ普通は見ないですよね、ネズミがいなきゃ。
長年にわたっての生息が推測されます。
クマネズミは走りながら糞尿をするので、通り道に付いていることも。
この写真は通り道というより長居していたかもしれません。
だって餌のひまわりの種の殻まで落ちているので。
こちらの写真はシステムキッチ裏です。
ここはシンクの壁を破って初めて見ることができたネズミの秘密基地です。
ネズミが齧った跡
こういうのは怖いです。
もしこれが電気ケーブルだったとしたら・・・・ぞっとしてしまいます。
何しろネズミはげっ歯目、一生歯が伸び続けますので、齧らずにはいられないのです。
ラットサイン率の高い場所
不思議なほど、ネズミはセオリー通りの場所から侵入するようで、侵入ルートは共通しているようです。
これは一軒家でもマンションでもだいたい同じなので、以下の場所を調べると何かしらネズミの痕跡、つまりラットサインが見つかります。
ネズミの侵入口は2つです。
家の中にあれば、必ず家の外にもあります。
2つの侵入口についてはこちら

屋外の侵入口
- 屋根と屋根の重なり部分
- 屋根の隙間、瓦のずれ、雨漏り部分
- 軒下
- 電気・ガス・水道・下水など配管周り
- エアコン導入部や室外機
- 壁の亀裂や隙間
- 雨戸の戸袋
- 床下通風孔
- 下水周り
- 出窓やふかし壁の下
※ふかし壁についてはこちら

屋内の侵入口
- 台所まわり
- 台所・洗面所・トイレの配管
- システムキッチンの隙間
- 冷蔵庫裏
- オーブン裏
- 玄関や勝手口
- 電気ブレーカー(配電盤)
- 床下
- 壁の中、壁の穴、隙間
- 長押(なげし)
- 神棚や仏壇
- エアコン取付部
- 棚裏や押入れの奥など、周囲を囲まれた隙間
- 開いている窓(上階でも入る)
- 家周辺の地面の穴
- 換気扇
古いラットサインでも侮らない
ネズミの弱点は同じ道をたどること。
どういうわけか真面目に同じ場所を通るんですよ。
なので罠で一匹捕まえたからといって、それでその場所に罠をかけるのをやめてしまわずに、また同じ場所に罠を置いておきましょう。
何匹か捕まえるとあるときから全く捕まらなくなります。
ネズミが罠にかかるとキーキー鳴いて仲間に危険を伝えますので、他のネズミは「このべたべたするものは危険」と学習してしまうためです。
それでも罠はずっと置いておきます。
ここは気長に構えて、罠をかけたのを忘れるくらい放置しておくのです。
そうすると忘れたころネズミがまたかかっていることがあります。
これは皆同じルートを取ってしまうネズミの習性が物語っているのではないかと思っています。
ラットサインを見つけるのは、簡単そうで簡単じゃないです。
だって、ネズミは小さい動物、人間の目の届かない場所を好んで通るからです。
人の手が届かない場所ほど怪しい
クマネズミやハツカネズミだったら上の方、ドブネズミだったら下の方を探してみてください。
家の中
天井裏とか天袋とか、そうそう、日本家屋だったら長押(なげし)のチェックは定番です。
家の外
屋根や軒下、2階の空いた窓、雨戸の戸袋も要注意です。
雨どいをつたって屋根に上るケースもあり、よく足跡が付いてたりします。
ラットサイン事例:システムキッチン裏
写真はシステムキッチンの裏の10cmくらいの隙間です。
システムキッチンは隙間ができるので、ネズミに入られやすいのです。
しかも隙間の幅が10cmくらい、これはクマネズミが大好きな幅です。
下水管
下水館の上に足跡がびっちりついていますでしょ。
糞もあります。ラットサインです。
システムキッチンの隙間ですから、家の中です。
こんなところの上でご飯を作ってたんですから、びっくりです。
システムキッチン裏は以前もチェックしたのですが、この下水の穴は完全な死角で見落とした場所です。
戸の奥を切って、やっとこの場所がわかりました。
ラットサイン事例:軒下
勝手口外の軒下、屋根は左上の白い板です。
屋根を支えるためにある鉄骨にラットサインがあります。
ここは壊れた雨どいをつたって、鉄骨を通り道にしていました。
高いところなので、普段人間の目には付きにくい場所です。
毎日、夕方ごろ、ネズミがどこかを通ってる音がしてわかっていたのですが、まさかこんなところとは!
ラットサイン事例:押入れ天袋
一見、ただの煤のようですが、これもラットサイン。
天袋も普段は使いませんので、ネズミの格好の住処になります。
壁に付いている灰色の汚れはラットサインのネズミの足跡です。
ここの天袋は、普段は放置状態です。
天井裏を確認できるよう薄いベニヤが乗っているだけなので、そのベニヤの角をネズミが齧って穴をあけられました。
そこから自由に天袋に降りてきていたもようです。
ラットサインが見つからない場合
なんだそれじゃ、ラットサインを見つけさえすれば簡単に駆除できるじゃん。
そう思うかもしれませんが、ネズミは人の目も手も届かないネズミにとって好都合の場所を見つけるのが実に上手です。
大抵はそういうところを通り道にしています。
一つ二つラットサインが見つかっても、それで終わりではないかもしれません。
ネズミの侵入ルートは複数個所あることも多く、一つでも侵入口を見逃すとネズミとの闘いが長期化することになってしまいます。
プロにお任せ
プロのネズミ駆除業者はそんな見つけにくいネズミの痕跡を探すのがうまいので(当たり前ですが)、短期間で駆除ができてしまうでしょう。
自分で対処できないと思ったら、多少は費用が掛かっても長期化する前にネズミ駆除の専門家にお任せする方が得策です。
家にネズミが出ると、安眠が阻害されたり、イエダニの被害にあったり、寝ても覚めてもネズミのことばかり考えてしまうネズミノイローゼになる方も多いものです。
なるべく早く決着するならネズミ駆除のプロに駆除をお任せしましょう。

ラットサイン まとめ
ラットサインいろいろを挙げてみました。
ラットサインを見つけるのは、慣れが必要かもしれません。
一度見たところも、もう一度見てみると、何か発見があるかもしれませんよ。
以上、ネズミ駆除の参考になれば幸いです。
出典:ねずみ調査